クリニック受診を決めるまで
31歳で結婚してから、何ヶ月経っても妊娠しなかった。
一度生理が1週間遅れて恐る恐る妊娠検査薬を試してみたこともあるが、見事な陰性だった。その間に、何人もの友人から妊娠、出産報告が届いた。
それが段々つらくなっていった。生理が来た翌日に届いた報告ではなおさらだった。
私には20代の頃から、排卵出血と思しきものがあった。
排卵の時期になると微量に出血するのだ。
ダラダラ続くこともあったので独身時代意を決して婦人科に行ったものの、「冷えからくるものだろうから気にしなくていい」と言われて漢方を出されるだけだった。
漢方もいまいち効果が分からず、処方された分を飲み切ることなくやめてしまった。
その排卵出血の量が、妊活を始めたあたりから増えていた。
トイレットペーパーについた出血が「えっ、何これ」と思うくらいの量のときもあった。
成果が出ない月が続くうちに、夫が転勤になった。
転勤に伴う引越しで、私の通勤時間はこれまでの2時間から半分の1時間に減った。
通勤時間の短縮で私のストレスはだいぶ軽減されたと思う。
しかしそれでも一向に妊娠の気配はなかった。
そのうち夫が「不妊治療のクリニックに行ってみるのはどうか?」と言い出した。
夫は私(女性側)の問題だと決めつけず、当たり前のように二人で受診、検査を受けるつもりでいてくれた。
しかし私は渋った。
生理は順調に来るし、病院に行くほどではないと思っていた。
というより、本当は病院に行って現実を叩きつけられるのが怖かった。
それから数ヶ月後、病院に行く決心がついたのは、私と同時期に結婚した友人から妊娠報告を受けた日だった。
友人の妊娠自体はとても嬉しかった。
ただ、その日トイレに寄った時、ちょうど排卵の時期だったのだろう、いつものように出血があったのだが、その量がいつもとは違い、おりものシートから溢れそうになっていた。
今まではこんなに大量ではなかったのに。私の体は何かトラブルを起こしているのではないか。
友人と自分を比べて、ひどいショックを受けた。
そしてその日の夜、夫に不妊治療のクリニックに行こうと思うと宣言した。
婦人科自体あまり数の多いものではないと思うが、不妊治療を扱うクリニックとなるとさらに数が少なかった。それなのに、調べてみたら運良く徒歩10分圏内に1件、専門のクリニックがあった。
土曜日希望ということもあり、予約が取れたのは3ヶ月ほど先の日だった。